アレルギー予防と治療の最新動向/ アレルギー医療革命


アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!

アレルギー医療革命(NHKスペシャル取材班)という本を読みました。2015年に放送されたNHKスペシャルの取材を基にして、同取材班がアレルギー医療の最新研究について書いています。これまで良いとされていたことが実は根拠が全くなく、逆に良くなかったなど、衝撃的な内容でした。

先進国で暮らすアレルギーのほとんどない人々

アーミッシュは、アレルギーが猛威をふるう先進国アメリカにあって、なぜかアレルギーの患者がほとんどいない。

アーミッシュはアメリカに住むドイツ系の移民で、彼らの生活様式は200年前と変わっていません。電気と電化製品や車を基本的に使わず、家畜と暮らし、加熱殺菌していない牛乳を飲んでいます。研究の結果、遺伝的ではなくその環境がアレルギーの発症を防いでいることが判明。体内に細菌が取り込まれることによって、体の中にある細胞が増えることでアレルギーが抑え込まれています。

アレルギーの発症を抑える細胞

制御性T細胞、通称「Tレグ」。このTレグこそ、アレルギーの発症を抑え込み、今まさにアレルギー治療に大きな変化をもたらそうとしている主役だ。

Tレグは、免疫システムの攻撃を抑える細胞。アレルギーは本来体に害の無いものを免疫システムが誤って攻撃することで起こりますが、このTレグがその攻撃を止めることで、アレルギーの発症を抑えています。アーミッシュのように細菌接触の多い環境では、Tレグが多く作られます。

アレルギー予防の新常識!?

子どもたちが非常に早い段階で敢えてピーナッツを食べることによって、ピーナッツアレルギーを予防できることが判明した。

2015年2月のアメリカアレルギー学会で上記のことが発表されました。これまではピーナッツなどアレルギーの原因となりやすい食品は、離乳期早期からの摂取をさけることが良いと考えられていました。ピーナッツを早期から食べることで、ピーナッツへ免疫システムが攻撃するのを止めるTレグが作られ、アレルギーを予防する働きが生まれます。先日、日本小児アレルギー学会でも鶏卵アレルギーについて、卵の早期摂取によりアレルギーを予防できることが発表されました。ただし、すでにアレルギーの発症が疑われる場合は、その食品を摂取させることは危険です。

アレルギー発症の原因は皮膚から?

皮膚からアレルゲンが入ると、免疫細胞は臨戦態勢になり、その異物を攻撃対象と見なしやすい。

皮膚は本来、外部から異物や細菌が侵入されないように守られている場所です。しかし、そのバリアが壊されると、皮膚の免疫システムは敏感に反応します。そのため乳児湿疹など荒れた皮膚からアレルゲンが入ると、アレルギーを発症しやすくなります。

アレルギー発症は、腸から先か、皮膚から先かが鍵に。

アレルゲンが腸から入るか、皮膚から入るか、それはアレルギーになるか、ならないかを決定づけるレースのようなものです。先にその異物を腸から吸収できれば、攻撃を止めるTレグが作られ、体は異物を受け入れる。でももしその異物が皮膚から先に入ってしまえば、私たちの免疫は異物対象として記憶する。そして、アレルギーになってしまう。つまり、腸からいち早く入るようにする。それこそがアレルギー予防を可能にする大きなカギだと考えられます

腸と皮膚で、異物が入ってきたきた時に起こる免疫システムの反応が逆です。先述の日本小児アレルギー学会のガイドラインも、このシステムを考えて、皮膚よりも先に腸に鶏卵を届けようとしたのだと思います。初めて摂取させる場合は、赤ちゃんがすでにその食品の食物アレルギーを発症している場合には、アナフィラキシー症状を起こす危険があるため、必ず1種類ずつ、少量から始めるようにとのことです。

アレルギーの子を持つ親の方、これから親になる方必見

アレルギーは原因不明で治らないものというイメージがあるとたくさんの人が思っているかもしれませんが、この本に書かれている通り、研究が積み重ねられて、着々と医療技術が進歩しています。近い将来、容易に治せるものになるかもしれません。

先日発表された日本小児アレルギー学会の鶏卵アレルギー発症予防のガイドラインについても、なぜそういう風にした方がいいのか、そのメカニズムがこの本を読むことでわかると思います。

最後に専門書のように難しい本ではなく、取材記事なので読みやすいのもこの本の良いところです。


アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!

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